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mantra

2018年11月28日

小笠原 文

師から伝えられるマントラ 〜マントラ・ディクシャ〜

以前、『聖なる言葉のエネルギー“マントラ” 〜前編〜』でマントラについて触れましたが、今回はもう少しその世界を広げてみたいと思います。

マントラについて様々な解釈があるかもしれませんが、ヨガと同じようにたどり着く先は同じです。
この世界を創り上げることのできるエネルギーの美しい旋律であることに変わりはありません。

以前書いたように、人の体もあらゆる物質も大自然も、この世界はすべてエネルギーでできています。それぞれが特定の周波数をもつことで存在することができ、この世界は成り立っています。

そして、マントラも言葉のエネルギーです。
歪んだエネルギーが本来の周波数へと整うよう導くことのできる、神聖な音をもっています。
マントラのエネルギーが活きるよう正しく唱えることができなければ、その周波数は歪んでしまいます。
そのため、マントラは扱い方を間違えると周りのものを歪ませてしまう力をもち、安易な気持ちで言葉にするのは危険を伴うことになるのです。
だからこそ、発音や言葉のアクセントなどを正確に発しなければならないと言われています。

 

◯師から与えられる自分だけのマントラ

師から口伝えによって弟子に与えられる「マントラ・ディクシャ」というものがあります。
※「ディクシャ」とは、インド古代から行われている、人々を苦しみから解放するためのエネルギーワークのことです。
マントラが受け継がれる際、発音を正しく理解し唱えられるようになるまで徹底的に練習します。
声の抑揚口の開け方舌の細かい動きなど、それを正確に発音してはじめてその音のもつエネルギーが正しく発揮されるそうです。
音というエネルギーを扱っているのですから、それは当然のことだと言えます。

弟子はそのマントラをジャパ(繰り返し唱える)し、毎日自らの内に浸透させていきます。それは一生かけて唱え続ける価値あるもので生活の一部に溶け込み自然と一体化していくようです。
師から与えられたマントラは、他人には決して明かすことはありません。明かす必要のないものだからです。
マントラは「こっそり秘かに呟く」という意味の動詞の原型「マントル」からきています。ですから、師から与えられたマントラを誰にも教えることなく自分のためだけに唱えるのです。

 

ヴィニヨガでは、一人一人に合った呼吸法やアーサナなどのメニューとともに各個人の状態に合ったマントラが処方されることもあります。そのマントラを毎日唱えることで心身を豊かに整えることができるからです。
言葉とはコミュニケーションをとるためだけでなく、音そのもののエネルギーを利用することも可能です。
特にマントラは特別な力をもつものとして大切に扱われてきました。

今でこそヨガに関する文献が文字として残されているために、こうして歴史を辿り理解する術はありますが、それ以前は口伝えによって受け継がれていました。
正しく伝え、正しく理解し、正しく行う。
そしてまた代々弟子たちへと伝えられていくのです。

マントラはヨガというものが確立する以前から存在していました。
祭り事や儀式の際に神へと捧げる神聖な祈りの言葉として、規定の音階や発音を幼い頃より身につけ熟知した者だけが許される聖句です。この世界のみならず神の世界へと通ずる導となっています。

一般的に、サンスクリット語で書かれたものにカタカナで読みが表記されていますが、残念ながらそのカタカナを読むだけでは正しい発音ではないようです。

興味のある方は、サンスクリット語の発音を調べてみるとさらに世界が広がるかもしれません。

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小笠原 文
【音のヨガ専門講座:https://vende-school.jp/course/unitup_syc/】ハタヨガに音をプラスした、新しいスタイルの「シンギングボウルヨガ」を主に活動中。からだの状態や年齢にかかわらず、幅広い方にもヨガと音楽療法の相乗効果をお楽しみいただけます。 *バンデヨガ・インテグレーション(養成講座)における音のヨガの専門講座『Sound for Yoga(SYC)』創設、講師を務める。 *全米ヨガアライアンス(RYT200)修了、 バンデヨガ・インテグレーション(VYI200)修了、 各種専門講座修了、 シンギングボウルサウンドヒーラー、 yogamusic CD解説ライター .

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