2016年12月7日
小笠原 文
そろそろ秋も深まり、確実に冬へと近づいてきています。
日に日に気温が下がる中、手足が冷えてくる方も多いのではないでしょうか。
体が冷えた状態では、ヨガだけでなく日常のあらゆる面で体を壊しやすくなります。
体を動かす前のストレッチや念入りなほぐし・温めが必要になってきますね。
体が冷える要因のひとつは、血液の巡りが良好ではないためだと言えます。
寒さで血液が滞ると体が冷えるだけでなく、様々な体調不調を引き起こしかねません。
体を温かくする方法はいくつかあります。
・マッサージなどで血流を良くする
・体温を上げる食物を摂る
・湯船に浸かる
・自律神経を整える
・筋肉量を増やす
…等々
そのうち、ここでは血流を良くするため「第2の心臓」と呼ばれる【足の裏】の機能に注目してみたいと思います。
〜足は「第2の心臓」〜
わたしたちのからだは心臓の動きで全身に血液を送ります。
頭などの近距離へは噴水のよう上昇しますが、心臓から一番遠くの足先へは引力によって下りてきます。
その下りた血液は、また心臓までの距離を今度は重力に逆らって自力で戻らなければならないのです。
□足裏のポンプ
足裏は血液を送り出すポンプのような役割です。日常の中で『歩く』という行為がその力を強くします。
歩いているとき、足裏を地面につき全体重を乗せた後、反対の足に移る際に一度地面から足が離れますね。
この動きがまさにポンプと同様の働きになっているのです。
□足のほぐし
足全体を揉みほぐし血流をよくすることは、全身の血液循環に大きく影響を与えます。
足裏にはたくさんのツボがあり、マッサージをすることで弱った機能を回復させ、全身の症状の改善へと繋がります。
冷えやむくみ・重力によって水分もたまりやすい足をほぐし、溜まった老廃物を流して血液の流れも良くなり体全体がポカポカと暖かくなっていきます。
□足のツボ
足の裏には体の機能が全て映し出されていると言われるほど多くのツボが存在します。
ツボを押したときに押し始めが一番痛いのは、老廃物がそのツボの場所で固く結晶化しているためです。
押し続けていると、老廃物がだんだん小さくなっていくので痛みが感じられなくなります。
*豆情報〜かかとのツボ〜*
足の外側、かかとの側面にあります。アキレス腱と外くるぶしの間にあり、すこし凹んだところにあるツボで「外尾骨(そとびこつ)」と呼ばれます。
尾骨の痛みや、坐骨神経痛、骨盤のゆがみ、冷え性などに効果的だそうです。
また、膀胱、直腸、肛門、子宮など骨盤内に収められている器官の機能改善にも効果があるとされています。
※ツボを刺激してはいけない人
・酔っている人や足を骨折(捻挫やけが含む)している人。
・伝染病に罹っている人。
・腎臓や心臓が悪い人。
・脳出血や脳血栓を起こした直後や、悪性腫瘍、不整脈などがある人。
など、人によっては命にかかわる危険性がありますので充分ご注意ください。
妊婦さんも、足裏マッサージはしない方が良いとされています。妊娠中は体の機能がいろいろと変わる時期でどのように胎児に影響があるか予測が付かないからだそうです。
妊娠時期にもよりますので、主治医とよくご相談されることをおすすめします。
□足裏はたくさんの反射区の集まり
『反射区』=体のさまざまな器官や内臓と繋がっている神経の集中した個所のこと。
反射区を刺激することで、その該当する器官や内臓の機能を回復させたり活性化できるといわれ、全身マッサージを受けたと同じような効果が得られるそうです。
※「ツボ」と「反射区」は同じだと思われがちですが別物です。
・ツボは点。滞っている気の巡りを和らげる。
・反射区は面。本来もっている自然治癒力を引き出す。
□足の裏の筋肉
足の裏の筋肉は『足底筋膜』というもので包まれていて足の骨のバランスをとっています。
※足底筋膜
薄くて幅の広い膜のような腱。
足の甲の骨は、アーチ状になっていて、クッションの役割をしていますが、そのアーチを弓のようにピンと張って支えているのが、足底筋膜です。
体重を支えるとても大事なところで、ここを鍛えることで全身のバランスが良くなっていきます。
※ゆっくり歩くときに足にかかる重さは、体重の1.2倍。60kgの人で一歩ごとに72キログラムの重さが足にかかります。
(米国足病医協会の調べ)
□メカノレセプター
足の裏には「メカノレセプター」と呼ばれる感覚受容器(センサー)が多くあり、立位のバランスをとる役割をしています。
体の色々な場所(関節など)にもありますが、足の裏では親指・足の指の付け根の辺り・かかとなどに多く存在します。
「どの位置に体重がかかっているか」
「まっすぐ体重がかかっているのか」
「どちらかへ傾いているのか」などを感じ取ります。
メカノレセプターは、使わなければその機能はどんどん低下します。
骨折などでしばらく歩けない期間の後、怪我が治ってから久振りに歩こうとするとうまくバランスが取れないことがあります。
また高齢者などはメカノレセプターの機能が低下するためバランスをとりにくく、転びやすくなることもあります。
*メカノレセプターの活性方法*
・足の指をよく使うこと。
・足底へ刺激を与えること。
これだけでも大きく変わります。
そのための一番簡単なことは、裸足で過ごすことです。
もともと日本の文化として、裸足や足袋を履き、履物は草履や下駄などを主としていました。
それが「西洋文化の輸入」によって、靴下や靴を履くという生活になってきました。
以上のことから、足の裏を集中的にほぐすと体全体を中から温めてくれる効果があることがわかります。
*ヨガでアサナをとるときは、主に裸足です。
足の裏でしっかりと大地を感じ、自身の重さも感じながらココロのバランスもとることができます。
立位のときの足のつき方は、ヨガの中でもとても重要なものです。
関節にはエネルギーや疲れがが溜まりやすいとも言われますが、関節の多く集まる足をほぐすことは、体だけではなくて精神的部分にもしっかりと伝わっています。
日常で忙しい生活を送っている方も、お風呂上がりの温まった足を少し触ってあげたり、足指を動かしたりするだけなら簡単ですね。
◇また、直接足に触らなくても、意識を足裏に集中させることも効果はあります。
意識を向け、その部分がどんな感じがするかじっくりと観察してみましょう。
そのうち、だんだんと足裏が温まってくるかもしれません。
意識を向けることは、エネルギーを送ることと同じです。
これから訪れる冬を楽しく過ごすためにも、足裏へ意識を向けてみませんか?