以前、音とヨガの手法について
『音とヨガの繋がり《全てに宿る音の振動 〜ナーダヨーガ〜》』で触れてみましたが、
今回はさらに、ヨガにつながる文献の中で
“ 最も古いであろう「音楽療法」”
についてみていきたいと思います。
ここでの音の手法が、のちのナーダヨーガに繋がっていったのだと考えられます。
時は紀元前2500年あたり。
『ヴェーダ』という文献にまで遡ります。
ヴェーダ
ヴェーダは「知識」という意味で、バラモン教の聖典とされています。
宗教的思想をもとに、主に祭壇にまつわる讃歌や祭式の説明が書かれたものですが、ここにヨガの教えの要素となるものも多数記されていて、現在に至るヨガの根本的な知識が込められています。
ヴェーダは4つの部門に分かれます。
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サンヒター
「本集」とも呼ばれる。中心となる書。
マントラ(讃歌、歌詞、祭詞、呪詞)について記される。
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ブラーフマナ
「祭儀書」「梵書」とも呼ばれる。祭りごと(祭式)の手順や神学的意味を説明。
正確な祭式の実行のための、細かい決め事が記される。
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アーラニヤカ
「森林書」とも呼ばれる。人里離れた森林で語られる秘技。
祭式の説明に加え、哲学的な説明も記される。
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ウパニシャッド
「奥義書」とも呼ばれる。最も哲学的な部分。
インド哲学の源。
※一般的に『ヴェーダ』というと、上記の『サンヒター』のことを指します。
ウパ・ヴェーダ
上記にまとめられたヴェーダの中から、専門的なことを抜き出し、応用的知識を組み込んでまとめられた
『ウパ・ヴェーダ』(副聖典または、副ヴェーダとも呼ばれる) というものがあります。
こちらも4つあります。
●
アーユル・ヴェーダ
医術。
生命の知識。病気の治療と予防だけでなく、より善い人生を目指すもの。
●
ガンダルヴァ・ヴェーダ
歌舞術。
人と環境の調和をもたらす音楽療法。
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スターパティア・ヴェーダ
建築術。
環境との調和を重視した建物の知識。
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ダヌル・ヴェーダ
武術。
弓の科学。
・『アーユル・ヴェーダ』はもう日本にはだいぶ浸透してきているかと思います。
ヨガとの共通点も多く、健康に過ごすためにその知識を生活に取り入れている方も多いのではないでしょうか。
・『スターパティア・ヴェーダ』は、自然との調和を目的とした建物のことです。
形や方角を自然に沿うように設計され、天体や北極点・南極点・赤道との位置関係まで考慮されています。
アンコールワットの遺跡もこの方法で造られたそうです。
・『ダヌル・ヴェーダ』は武術をもとに身体的鍛錬の戦闘法ともいわれています。
強さだけでなくしなやかさも備え、相手と呼吸を合わせながら繰り広げられる技は舞い踊っているかのように見えるそうです。
ここから繋がっていった「カラリパヤット」という武術の手法を取り入れたヨガがあります。
しかし、ここで注目して欲しいのは、『ガンダルヴァ・ヴェーダ 』です。
“音楽療法” と書かれていますね。
どんなものかみていきましょう。
ガンダルヴァ・ヴェーダ
『ガンダルヴァ・ヴェーダ』が、最古に記された、音を用いた療法であるとみられます。
「サ・リ・ガ・マ・パ・ダ・ニ」の7音階からなる音の旋律で、心身を本来の姿へと整える性質をもち、
古代の祭式においては、讃歌として非常に重宝されていました。
※7音階は“スヴァラ”と呼ばれていますが、ドレミの音階とほぼ同じです。
・Sa (サ):ド
・Ri (リ):レ
・Ga (ガ):ミ
・Ma (マ):ファ
・Pa (パ):ソ
・Dha (ダ):ラ
・Ni (ニ):シ
(シャープやフラットの音階も含めればさらに合わせて12音となります)
ガンダルヴァ・ヴェーダ の旋律は、これらの音階を使って決まった配列を組み、自然界と調和するようなハーモニーを奏でます。
熟達した人が雨のラーガ(旋律)を演奏すると本当に雨が降るとも言われているそうです。
音の振動というのは、
空気を伝わるものだけでなく存在するものすべてにある振動パターン(リズム)のようなもので、
その違いによって、そのものの性質やカタチまでもが変わると言われています。
ひとりひとりからだにもっているリズムに合わせた振動パターンや旋律は、
臓器やホルモンの分泌・神経系・自然治癒力などだけでなく、
精神面や体内エネルギーをも正常にし、
あらゆるものを整える療法として何らかの効果をもたらすとされています。
アーユル・ヴェーダでは、
“トリ・ドーシャと呼ばれる3つの要素のバランスが崩れると病気になる”
と考えられています。
崩れてしまったバランスを整えるため、音の振動を用いて心身の調和を図ることもあるようです。
時間帯によって異なる音
ガンダルヴァ・ヴェーダでは、1日を3時間ごとに分けたそれぞれの自然の流れや体のリズムに合う旋律があるそうですが、
先ほど少し触れた『雨のラーガ』はいつ聞いても良いらしく、心身共にリラックスして安らぎを得られるそうです。
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ガンダルヴァ・ヴェーダ については、詳しく記述されたのもが残されていないのか、解明されていない部分が多い分野ですが、
ヴェーダの初期に記されていたことから、音はずっと人類とともに寄り添ってきたことがわかります。
そして音というものを祭式で用いるほど大切に扱い、
その中には神秘的なものが含まれていると信じ続けてきた精神といいますか、魂というものは、
時代は変わっても私たちの中に根付いている部分があるのではないかな、と思うと嬉しくなったりもします。
こんな風にしてきっとこれからも音は、ずっと繋いでいくものだと思うと、
わたしたちはその過程の中で受け継いでいく大切な存在だと感じます。
私は “音” が好きなのでこうして日々感じていますが、
きっと皆さんの中にも、いろいろな “好き” があるのではないかな、と思います。
その “好き” を楽しみながら、さらなる音ライフも存分に味わっていってみてください!
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【音のヨガ専門講座:https://vende-school.jp/course/unitup_syc/】ハタヨガに音をプラスした、新しいスタイルの「シンギングボウルヨガ」を主に活動中。からだの状態や年齢にかかわらず、幅広い方にもヨガと音楽療法の相乗効果をお楽しみいただけます。
*バンデヨガ・インテグレーション(養成講座)における音のヨガの専門講座『Sound for Yoga(SYC)』創設、講師を務める。
*全米ヨガアライアンス(RYT200)修了、
バンデヨガ・インテグレーション(VYI200)修了、
各種専門講座修了、
シンギングボウルサウンドヒーラー、
yogamusic CD解説ライター
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