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2017年7月5日

小笠原 文

音とヨガの繋がり《全てに宿る音の振動 〜ナーダヨーガ〜》

私たちが普段耳にしてる音は、何がありますか。

・歩く音や電車の音、掃除機の音などの “生活音” だったり、
・波の音、風の音という “自然界の音” など、

身近なものが挙げられると思います。

これらは普段聞き慣れ過ぎていて「音を聞いている」という意識はないかもしれませんね。
でも一度立ち止まってじっと耳を澄ませてみると、私たちは実に様々な音たちに包まれていることに改めて気付き、驚かされるのではないでしょうか。

また、“自ら発している音” も聞こえませんか?

〜お腹の音
〜心臓の動く音
〜呼吸する音
〜血液が体内を巡る音
〜さらにはプラーナ音まで。

生命エネルギーであるプラーナが、体内のエネルギーの通り道と言われているナーディを巡る音(ナーダ音と呼ばれることもあります) でさえもわたしたちは聞くことができるのです。
それは、静寂の中に響く大きな生命の音を感じる瞬間かもしれません。

 

(※ナーダ音を聞いてみたいときは夜がおすすめです。
瞑想をするようなこころの在り方で、なるべく周りの音がしない時間帯がベスト。
夜のエネルギーに包まれた静かなとき、じっと耳の奥の方へと意識を集中してみてください。
このとき両手の指で耳の穴を塞ぐ方法もあります。
すると、外からの音ではないけれどたしかに聞こえてくる  “自分の存在を表しているかのような音” が聞こえてきませんか?)

 
波動
 

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古代インドより伝えられている音を用いたヨガ、《ナーダヨーガ》というものがあります。
通常私たちが耳にする音や音楽ではなく、音の“振動”そのものを中心としたもののようです。
それは一体どんなものなのか、ひとつひとつ紐解いていきましょう。

 

◯ナーダヨーガ (Nada Yoga)


ナーダとは『原始的な音』という意味をもちます。



 
ー“全ての宇宙とそこに在る人間を含む全てのものは、ナーダと呼ばれる音の振動から成り立つ” という前提の上にある。この概念は宇宙を形作る物質や粒子よりも音のエネルギーを重視する事を意味する。ー
ーナーダ・ヨーガは音への崇敬と反応の方法でもある。音は感覚的なものや喜びの感覚を与えるものというだけでなく、内外両宇宙との深い統合の潜在的媒体でもある。ー
 

とあります。

つまり、

『目の前にある全てのものは、ある振動によって生じたエネルギーが形となって表れているだけのこと。という前提のもと、確認できる物質の最小レベルよりもさらに細かいエネルギーを音として重きを置くもの』

であり、

『音はありとあらゆる全てのに含まれる存在そのものであり、その音の振動具合を利用したものである。個の存在意識から根源意識へと繋ぐことをも容易に可能にする』

というものです。



▶︎ナーダヨーガでは、全ての源である「振動」を中心とした方法で意識を統合させ、ヨガの最終目的であるサマディへと到達するための補助的役割も担うとされているのです。

 

◯ナーダヨーガの仕組み


 ーナーダ・ヨーガの仕組みは音楽を2種類に分類する。外部の音楽の「アハタ」と内部の音楽の「アナハタ」ー
 
  • 「アハタ」→ 楽器などを用いた外からの音。
  • 「アナハタ」→ 自分自身のもつ内側の音。
このふたつを融合させていきます。



▶︎内側の音・外からの音、この両面からの振動エネルギーを共鳴させていく方法で行われているようです。

 

○「アハタ」と「アナハタ」


●「アハタ」(外からの音の効果)
楽器やそれに変わるものなど、音の鳴るものを聞いたり振動を身体に浴びたりすることで
体内エネルギーに直接施しを与えることができると言われています。
 

ーナーダ・ヨーガの音の振動と余韻は様々な物理的・精神的苦痛の緩和にも用いられる。チャクラと呼ばれるエネルギーの中心と見做されるものへの気付きの度合いを高めるのにも用いられる。ー
 

ヨガと深い繋がりのある体の主要な7つのチャクラにはそれぞれに異なる『音』の特性をもっていて、その音程はチャクラに伝わり、チャクラは肉体へと伝わっていきます。

つまり
『音によって身体的・精神的にもアプローチができ、
また、音の導きによって新たな気づきを得るためにも重宝されていた』
ようです。

 

▶︎集中させたいチャクラ、そのもつ音と同じ音を外から響かせることで、直接チャクラを活性させていく効果を利用していました。

 
●「アナハタ」(内側からの音)
ー連続音と精神統一・呼吸制御によって、個人で自身のアナハタ(内部音)を聴く事が出来、瞑想の補助としてこの内部音に集中する事は心を制御するのにとても役立つ。明確に認識出来るようになると、外の生活でも同様に自分を落ち着かせるのに使える。ー
《存在している内なる音は、全ての源である》
この記事の冒頭で少し触れた「ナーダ音」は同じことを指しています。
“わたしたちの内側にある意識の奥深くにはサマディの域へと繋がっている故、
今ここに存在している肉体である『個の姿』と、
内側に存在している全知の意識である『本来の姿』
これらは全く『同じもの』である”
ということから、
▶︎生命エネルギーであるナーダ音は『聖なる宇宙の音』になるのです。

※わたしたちのからだには「宇宙の始まりの音の記憶」が刻まれていて、深い意識へ到達するとその音も聞こえるようになると言われています。

 

古代ではナーダヨーガを行うとき、座った状態やリラックスした体勢で“音”を共鳴させていく方法をとっていたようです。

 

波動1
 

 

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現代の生活の中での音

 

◯音の体感の違い

 音を感知する経路は大きく2つに分けられます。

①テレビやCDなど、物を通して聴いているもの。

・音程は聴覚でキャッチし、感覚器官を通して脳へと伝わります。
・音の波動は、電波やCDプレイヤーなどの簡易的機関を経て伝わります。

②劇場やコンサートなどでの音楽・ミュージカルなど、生(ライブ)のもの。

・同じく聴覚から脳内へ伝わります。
・音の振動を、肌・皮膚から直接受け取りそのまま体内(筋肉や骨・細胞など)に響きが伝わります。
・波動は直接エネルギー体で受け取ります。

 

▶︎生の音は “聴く” というより “浴びる” という感覚の方が近いので、エネルギー体そのものに振動が届けられ身体の各部分が適度に整えられるようです。

 

○音(波動)の共鳴

 音が伝わる波のようなものを「波動」と呼ぶこともあり、
自身の波動と他の波動とがうまく響き合うことを「共鳴」や「調和」と言ったりもします。
うまく「共鳴」すると、お互いを向上させる新しいパワーを生み出すことができるそうです。

 

▶︎このとき「心地よく感じる」という感覚が重要らしく、あらゆるものを良い方向へと導く力があると言われています。

 

ex) 好きなことをしているときの心の落ち着きや高揚感・幸福感、体の不調が和らぐなどの変化も「心地よい共鳴」によるものだそうです。
(“自”と“他”の波動が合うということ)

 

◯心地よいと感じる音

 身近なもので、私たちが心地よく感じる音は “自然界の音” です。
風や光などにはリラックスさせる音の作用 (ゆらぎ音・倍音など) が含まれているからです。

1/fゆらぎの音
ゆらぎ音と呼ばれるこの音には、人々の脳波をリラックス状態のα波へ導くとされています。

● 倍音
1つの音の中に2つ以上の音を同時に発している音のこと。
音の周波数が2倍になっているということ。

*これらは自然界だけでなく、楽器(トランペット・シンバルなど) や音楽 (ヨハネス・ブラームスなどの曲等)・また、声に含まれる人もいるようです。

 

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これらを踏まえ、音とヨガと繋げる意味・音の役割をまとめると、

 
 ・音は身体のチャクラに直接対応し、外部からの刺激で体内エネルギーを活性させる手助けとなる。
・不安定な精神面や体内の不調にも、音の振動で正常な状態へと整えるチューニング的役割も果たす。
・余分な身体の力を抜き、深い意識へと導く。
・個という存在自体の元となる、根本的な部分で反応し合う。
というプラスαの作用があることが分かってきました。

 

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◯近年の音のヨガ

 

音を浴びる《ナーダヨーガ》に《ハタヨガ》を組み合わせた “音を取り入れたヨガ” がここ数年増えてきているように感じます。

用いる音も様々で、

・ギターやバイオリン、フルートやピアノなどの楽器
・ハングドラム (スティールパンの仲間)
・クリスタルボウル (水晶や天然石から作られた器)
・シンギングボウル (チベットやネパールなどの寺院で使われる法具のひとつ)

など。
これらの中には『ゆらぎ音』『倍音』を奏でるものもあり、どれも日常とは違うところへと導いてくれるような安らぎの音色を奏でます。

 

水の波
 

どのようにしてクラスに音を組み込ませていくかはレッスンの内容や担当の先生などにより異なりますが、
ハタヨガの呼吸とアサナに、音の響きが身体中に染み渡っていく様子が感じられるのではないでしょうか。
身体と心の変化は、言葉で語るよりもまずご自分で体感してみることをお勧めします。

 

感じ方は人それぞれ。
また、お部屋の環境や集まった人たち・その日の気分や体調などにより音の共鳴の仕方も変わりますので、
毎回違った感覚が得られると思います。

今の時代、技術の進歩による多くの開発で次々と便利になっていく世の中で
より、シンプルなもの
より、自然なもの。
そんなものを人々は求めてきているのではないかな、と感じています。

 
《音は宇宙の始まりでもあり、自分自身でもある》
 

自分の内側にこそ宇宙が広がっていて、いつでもそのリズムに安らぐことができる。
共鳴をさせて大きなエネルギーを生み出すこともできる。

それは大きな可能性が見えてくる気がしませんか?

音に囲まれた日々の中で、
耳を澄ませて聞こえてくるひとつひとつの音を聞き分けてみたり
音のない“静寂”を感じてみたり
今の自分自身の音を聞いてみたり。

そんな音ライフも是非楽しんでみてください。

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小笠原 文
【音のヨガ専門講座:https://vende-school.jp/course/unitup_syc/】ハタヨガに音をプラスした、新しいスタイルの「シンギングボウルヨガ」を主に活動中。からだの状態や年齢にかかわらず、幅広い方にもヨガと音楽療法の相乗効果をお楽しみいただけます。 *バンデヨガ・インテグレーション(養成講座)における音のヨガの専門講座『Sound for Yoga(SYC)』創設、講師を務める。 *全米ヨガアライアンス(RYT200)修了、 バンデヨガ・インテグレーション(VYI200)修了、 各種専門講座修了、 シンギングボウルサウンドヒーラー、 yogamusic CD解説ライター .

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