2021年8月5日
尾崎由佳
1年で最も暑くなる、大暑の時季。
汗が不快・・・日差しが眩しい・・・日焼けが怖い・・・
夜は夜で、まだ暑い・・・寝苦しい・・・
ついつい、冷房の効いた快適な部屋でずっと過ごしていたくなるものです。
でもでも、そんな気持ちに反発したくなるのが天邪鬼の強み。
暑いからこそ、ちょっと頑張るポーズで内側に籠る熱やストレスを発散です!
今日は、そんな発散に適した3つのポーズをご紹介します。
キーワードは、“ アグニ ”。
身体と心に正常に火を灯し、物理的にも精神的にも取り入れたものをきちんと消化。
暑さに引っ張られすぎない、スッキリな自分を保ちたいと思います。
①ヴィーラ・バドゥラアサナⅡ Virabhadrasana Ⅱ / 戦士のポーズ2
戦士のポーズの2番は、足を大きく開いてどっしり構え、お腹に力を入れて自分の真ん中と繋がって、
その上で軸を保ちつつ前を見据える、覚悟のポーズだと思っています。
お腹の力が抜けると、腰が反ったり膝が内側に入ったり、ミスアライメントに繋がりやすくなります。
下腹部をきゅっと締めつつ深い呼吸を回して、自分の中心から湧き上がってくる覚悟を感じ、
暑さに茹だる自分に喝を入れてみてください。
《ポーズの手順》
1) 脚のスタンスを見極めるため、まずはダウンドッグを行う。
2) 右足を引き寄せ、手と手の間に入れて、少し右手側に寄せておく。
3) 左足の踵を内側に倒して、足の裏全体で床を捉える。
4) 右足の膝を伸ばしつつ、身体を起こし、骨盤・胸・顔も完全に左側へと向ける。(正面が90°左側に移る)
5) 下腹部に力を入れて、両足股関節を外回しにするような意識で、右足の膝のお皿が上向き、左足の膝がおへそと同じ方向を向くように整える。
6) 吸う息で背中を伸ばし肩の力を抜く。お腹の力で中心に意識を向け続け、反り腰を防ぎつつ軸を作る。
7) 股関節の外旋と、体軸のまっすぐを保ったまま、右足を踏み込むように膝を押し出し曲げる。つま先と同じ方向を向いていることを守り、右足踵の上あたりまで連れて行く。(踵を超えない)
8) 両足小指側で床を捉え、土踏まずのアーチを潰さないように注意。
9) 両手を肩の高さに広げ、中指同士を引き離すようにして背中を広げる。このとき、後ろ足側となる左手にも引っ張られる意識を持つことで軸が傾くことを防ぐ。
10) 改めて背骨を伸ばし、顎を軽く引いてから顔だけを右手の先に向けるように首を90°回旋させる。
11) 吐く息では常にお腹を薄く腹圧を高め、そこに集まったものを吸う息で全身に広げるようなイメージで、呼吸を通しながらポーズをキープ。3呼吸くらいで汗が吹き出すくらい、全身全霊で呼吸を!
12) 疲れを感じたら、両手を右足サイドの床に下ろし、左足の踵を持ち上げて指で床を捉え直し、ダウンドッグに戻って反対も。
② シャラバアサナ Shalabhasana / バッタのポーズ
お腹を土台にして胸や足を持ち上げるバッタのポーズ。
背筋を鍛えるポーズとしても有名ですが、個人的にはお腹を床と呼吸でマッサージするようなイメージで行うと、
あんまり辛さに囚われずに前向きにポーズを楽しめる気がしています。
食欲不振に陥りがちな夏の暑さに対処できるポーズとしておすすめです。
《ポーズの手順》
1) 腹這いで寝る。
2) 上体を軽く起こし、肩の下に肘がくるように腕をセットし、サーランバ・ブジャンガアサナ(スフィンクスのポーズ)のようなかたちをとる。
3) 床に接地しているお腹に意識を向け、恥骨と肋骨の縁が床を捉えていることを確認する。
4) 内腿に力を入れて両脚にも意識を通し、つま先がまっすぐ後ろを向くように足首の角度を整える。
5) 息を吐いてお腹が縮むのを感じ、同時にお尻にも軽く力を入れて、つま先が遠くに引っ張られるようなイメージで足を持ち上げる。お尻に力を入れすぎると、股関節が外旋して膝が外向きになってしまうので、深部の筋肉を使うように繊細に意識することが大事。
6) 可能であれば、前腿も床から離れるところまで脚を持ち上げる。辛ければ膝を曲げて太腿は床に下ろしておいても良い。
7) 息を吸って頭頂で遠く前方を押すように鳩尾から上の背骨を伸ばす。このとき。腰を反ろうと思わず、胸椎から伸展させることを意識。
8) 肩甲骨で後ろに空気を押し、さらに背骨を挟むように引き寄せる力を使って胸を開く。可能であれば、両手を後方へ伸ばす。この時、手のひらは上向きにするが、肩を巻き込まないように注意。
9) 吸う息では頭頂とつま先がそれぞれ斜め上へ引っ張られる意識をしつつお腹が縦に広がることを感じ、吐く息では下腹部に力を入れて腰の反り過ぎをカバーする。繰り返しながらキープ。
10) 疲れてきたら、脚・上体の順にゆっくり下ろし、うつ伏せのシャバアサナやチャイルドポーズなどで休憩する。
③ アグニスタンバアサナ Agnistambhasana / 薪のポーズ
その名の通り、アグニの力で内側の熱を活性化させるポーズです。
脚を薪のように組んで、股関節を前屈することで下腹部を圧迫します。
背骨を丸めてしまうと、火が燃える場所であるお腹の面積が狭くなってしまい、もったいないので注意。
もうひとつ、火が燃えるためには酸素が必要というのが自然の摂理です。
呼吸をしっかり行い、内側の空気循環もたっぷり行います。
全身が温まることはもちろん、お尻や腿のストレッチとしても気持ちのいいポーズです。
《ポーズの手順》
1) あぐらで座る。右足の脛が骨盤と平行になるところまで踵を前に出し、足首を直角にする。脛の中心がちょうどおへその延長線上となるように膝の位置を整える。
2) 左足の踵を右膝の上に乗せ、左膝の外側と右足のうちくるぶしが近づくように、脛同士を重ね、左足首も直角にする。重ねた両脛と、それぞれの太腿で正三角形を作るようなイメージ。ただし、膝に痛みを感じるようであれば、下側となっている右足の踵を少しお尻に引き寄せることで軽減する。
3) 脚が組めたら、息を吸って背中を伸ばし、坐骨で床を捉える。吐く息では下腹部を薄くして、お腹に力を入れる。
4) 少しずつ、骨盤を前に倒す。坐骨を後方へと送り出し、床につけたままにしなくてよい。その分、背骨をまっすぐに保ったまま、頭を前に差し出すようなイメージで股関節から前屈することを心がける。
5) これ以上前に倒すと腰が丸くなるしかないようなところまできたら角度を保ち、深呼吸でキープ。少し時間をおくと、また少し前屈を深められるので、じっくり呼吸を重ねながら筋肉・筋膜の伸びを待つ。
6) 疲れてきたら吸う息で背骨を戻し、脚を解いてリラックス。
7)左足を上にしたバージョンも同時間行う。
夏はピッタ、火の季節です。
身体や心の面でも火の性質が高まっています。
それを鎮めてバランスをとることも大切ですが、押さえ込みすぎると内側に熱がこもり、消化不良を起こしてしまいます。
ただでさえ、アクティブに動くことを敬遠してしまう、大暑の時期。
ヨガであれば、冷房を効かせた室内でも行うことができます。
ひんやり空間であっても、お腹への意識と深い呼吸で、たちまち内側の火は目を覚まし、
本来の暖かさを身体にもたらし、エネルギーの循環を高めてくれます。
自分の内側にはいつも温かな火が灯っていること。
その熱を思い出し、輝きを保とうと働きかけることで、スッキリとした温かさを広げることができること。
どうぞ忘れずに、快適な夏をお過ごしください!
(撮影場所=vendemiaire yoga studio)