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2019年2月15日

小笠原 文

自律神経の不安定に、ヨガができること

ヨガは身体に良いというのは多くの方がもっているイメージだと思いますが、
そのうちのひとつとして、「自律神経が整う」ということをよく聞くかもしれません。

“整う”ということは、“整っていない状態にある”ということですよね。
〈日常を過ごす〉というあたりまえのように感じる毎日を、私たちは常に気を張ってさまざまな出来事に対応しているのかもしれません。

ではまず、その「自律神経が不安定」とはどんな状態なのでしょうか。
基本からひとつひとつみていきたいと思います。

 

◯自律神経とは

読んで字の通り、“自律”した“神経”のことを指します。
呼吸心臓の動き消化活動発汗、体温調節などなど
自分でこうしよう、と意識をしなくても動くのはこの神経のためです。

自律神経のバランスが崩れると、

・呼吸が浅い
・動悸、息切れ
・食欲不振、消化不良
・冷や汗が出る
・眠れない
・冷えやのぼせ

などといった症状として表れたりします。

さらに自律神経はホルモンの分泌や免疫力とも関わっているため、
病気になりやすかったり、怪我が治りにくかったり、イライラしたり、落ち込んだり等さまざまなところへ影響をおよぼします。

 

◯交感神経/副交感神経

先ほど、“バランスが崩れると”と言いましたが、
自律神経は2つの役割があります。

 
●交感神経
やる気を出す神経です。
活発になったり、行動的になったり、体温を上げたりします。

例えば、
目の前にいる鳥を捕まえようと身構えるネコのようなものです。
瞬時に動けるようにと体と心の準備をしています。

ということは、
・心拍数を上げる
・体温を上げる
・発汗を促す
・体を緊張させる
・集中する
などなど、活動的な身体に変化させます。

適度に働いていれば、
昼間は起きてさまざまな行動を起こすことができますが、
多すぎると過剰に攻撃的になってしまう恐れがあります。

 
●副交感神経
リラックスや休ませる神経です。
気持ちを落ち着かせたり、体の緊張をほどいてくれます。

例えば、誰からも襲われる心配なく、完全に安全な場所で自由に寝っ転がっているライオンのようなものです。(ちなみに、ライオンの睡眠時間は14〜16時間だそうです)

交感神経とは反対に、
・心拍数を下げる
・体温を下げる
・発汗を抑える
・体を緩ませる
というような状態に変化します。

適度に働いていればこころは穏やかで体は緩み、夜はぐっすりと眠ることができますが、
多すぎると怠惰感や疲労感、無気力などに繋がります。

 

交感神経と副交感神経は、偏りすぎるとバランスが取れずに体調を崩してしまう要因となるのです。

 

◯バランスが崩れるとどうなるか

自律神経のバランスがとれていないということは、
自律して動いている各器官もうまく働かなくなる、ということです。
すると、冒頭で挙げたようなさまざまな症状として表れます。

交感神経と副交感神経のどちらかが優勢になってしまっているため、
・・・体が常に緊張状態になって血管を収縮し頭痛が起こるかもしれません。
・・・心拍数が低下して血液が全身にうまくまわりきらずに大切な栄養が行き届かないかもしれません。

また、生活の乱れや環境によるものでも、自律神経は崩れます。

 

崩れる要因はいろいろ考えられますが、
回復させるには “本来の正常な姿へ戻す” ことがベストなのではないでしょうか。

崩れたものを正しいかたちへ戻す、というシンプルなこと。

食生活が乱れていたら、ちゃんとしたごはんを食べるようにするとか、
疲れていたら休んで早く寝るようにするなど。

また、意外と有効的なのが「出したものをしまう」という片付けをきちんとすることです。
小さな子どもに言うようなことかもしれませんが、目に見えてわかりやすいのが特徴です。
視覚は約90%を占めるので、目からの情報により心にゆとりと安心感を与え、自分の行いを認めて褒めるような効果もあるのです。

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忙しかったり、目の前のやらなければいけないことに追われていたりするとつい後回しにしてしまいがちなことが多いかもしれませんが、
少しずつ、まずはひとつからでもいいので改善していこうという気持ちが大切です。

たまには自分をいたわる時間をあえて確保して、プチ旅行的に森林浴をしに行くのもいいかもしれませんね。

 

◯崩れたバランスを、ヨガで戻すには

基本はとてもシンプルです。
  • 交感神経が高ければ、リラックスなヨガ。
:重力を感じるように、力を抜くことを優先とした穏やかさを大切に。
  • 副交感神経が高ければ、アクティブなヨガ。
:強度が少し高めのアサナや、簡単な動きの中にも力を入れるポイントを。

しかし、
不調の度合いにもよりますが、ただ一方だけを高めれば良いというわけではなく、
「同じバランスにすること」が大切です。

クラスでの中で、
〈力を入れること〉〈力を緩めること〉
この割合を均一に、またはどちらかをやや多めにしていくと
ヨガによって崩れたバランスを少しずつ整えていくことができます。

また、呼吸だけでもそれは可能です。
・吸うことに意識を向けるのか。(交感神経を高める)
・吐くことに意識を向けるのか。(副交感神経を高める)
どちらかだけを意識することでも、整えていくことはできます。

 

◯継続が大切

1つのクラスでだいたい1時間〜1時間半くらいかと思います。
その一度きりの参加でバランスが整い、正常になる方もいるかもしれませんが、
またバランスが崩れた状態に戻ってしまう方の方が多いのではないかと思います。

1日24時間あるのですから、クラス以外の時間をどのように過ごしているかで身体のようすは変わってきます。

ヨガスタジオなどに定期的に通っている方であればリズムを整えやすく、徐々にバランスはとれていくと思いますが、
不定期だったり回数が少なかったりすると、ヨガの効果を持続させることは難しいかもしれません。

そのため、
クラスの中で日々に繋げていける言葉だったり雰囲気だったりを伝えていくことがどれだけ大切かということに改めて気付かされます。

より良い日々を過ごすための小さなささやきかもしれませんが、
きっと必要な人に必要な言葉が届くよう、身体を扱うインストラクターにとって常に心に留めておきたいことだと感じます。

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小笠原 文
【音のヨガ専門講座:https://vende-school.jp/course/unitup_syc/】ハタヨガに音をプラスした、新しいスタイルの「シンギングボウルヨガ」を主に活動中。からだの状態や年齢にかかわらず、幅広い方にもヨガと音楽療法の相乗効果をお楽しみいただけます。 *バンデヨガ・インテグレーション(養成講座)における音のヨガの専門講座『Sound for Yoga(SYC)』創設、講師を務める。 *全米ヨガアライアンス(RYT200)修了、 バンデヨガ・インテグレーション(VYI200)修了、 各種専門講座修了、 シンギングボウルサウンドヒーラー、 yogamusic CD解説ライター .

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