2016年2月14日
ゆきゑ
数々の古代インドの経典にはこう記されています。
日本語では「丹田に気合いを入れる」といった表現をされる、お臍の周辺にあたる ” the navel point “。
武道を極めるポイントとしてもよく知られていますね。
武道の鍛錬には「バランスとフォース」の力を磨くことが不可欠とされています。
バランスとは「平衡感覚」であり、「心の平静、落ち着き」を保つこと。そしてフォースとは「威力」であり、「支配力」であり、「効力」を施行できる力のことです。
これらすべての鍵は、丹田/the navel pointへの意識が握っています。
あらゆる精神的な修行においても、丹田は重要視されます。
瞑想や意識の開発を真に理解し発展させるためには、気/エネルギーの概念、そして丹田の機能を身体と思考(マインド)、2つのレベルにおいて明確であることが必須となります。
クンダリーニヨガの技法は、身体と思考における意識は互いに関係しており、調整し合っているという基盤に基づいてます。
これはヨガの練習をされている方はもちろんのこと、例えば心配事があると胃がキリキリと痛くなったり、ジムでエクササイズに熱中した後の爽快感などからも、理解できるのではないでしょうか。
身体のすべての部位、器官、組織は、それぞれその場所に相当するチャクラに繋がっています。
チャクラとは気/エネルギーのセンター。7つのチャクラは各々異なるエネルギーの振動を持ち、それを変換させ身体へと送ります。
私達の色々な習性や多様な行動性は、チャクラのエネルギー変換が深く関わっています。
また、さまざまな意識の層が私達に存在するのも、このエネルギーセンターであるチャクラ間のエネルギー変換によるものです。
クンダリーニヨガの技法はすべて、意識を高めるためのものと言っても過言ではありません。その数々の技法は、丹田を鍛えるエクササイズに満ちています。
意識の開発にはチャクラの活性化が必要とされています。
まず最初に活性化させなければならないのが第三チャクラ(マニプラ)。臍のチャクラとも呼ばれるエネルギーのセンターです。
このチャクラは個人の力、自分が何者であるかを司るパワーセンターです。意志の強さ、物事を達成させるエネルギーの源でもあります。
その活性化に大きな役割を果たすのが、丹田/the navel pointです。
第三チャクラは火のエナジーを司ります。この火を燃やすのが、丹田。そしてこのチャクラの火は、さらに丹田を強化させるという相関関係にあります。
ヨーガの歴史を紐解く『ウパニシャド経典』に、丹田についての記載があります。
丹田はお臍から5〜7.5 cm下、背骨の前辺りにある、エネルギー的センターです。
ナーディとはエネルギーの通り道。経絡と日本語では呼ばれ、生命の気であるプラーナを運ぶ経路です。
ヨギ・バジャンは講義の中で、「 丹田が神経組織をコントロールしている 」と述べています。
私達が見るもの、聞くこと、話すことなど、5感のすべては丹田によって統制されているのです。
丹田がぶれていると、視覚は鈍り、見えていてもそれが何であるのかを知覚できません。
「えっ?なんて言ったの?よく分からない。」聴覚はもとより、聞こえていてもその意味を理解出来ないのは、丹田のバランスが崩れていることに因るものです。
腕や肩の痛み、80%の頭痛といった身体の痛み、そして90%の疲れの原因も、丹田にあるといいます。
クンダリーニヨガには 丹田/the Navel Point の状態を計る方法が伝わっています。インドの医学であるアーユルヴェーダで病の診断に使われるやり方と同様です。
その方法は、丹田の強さと丹田が刻むビートのリズムを指で感じるものです。身体上のお臍の位置で、このビートを感じます。
もし、丹田の鼓動がお臍よりも少し上にあると下痢、下にあれば便秘。左にあればガスが溜まっており、右にあればゲップとなります。
イライラ苛立つ精神状態は、丹田のパルスがお臍よりも上がってしまっている状態です。反対にやる気の無さは、下がっている状態。鼓動が下がっていると消化不良も生じてきます。
丹田のブレは、おりものや生理不順の原因にもなります。
丹田をあるべき位置にセットするには、健康的な食事が不可欠です。肉類や砂糖の過剰摂取は丹田の力を弱体化させます。野菜類、肉魚以外のタンパク質をしっかりと摂取するよう心掛けましょう。
クンダリーニヨガのストレッチポーズでの「火の呼吸」は丹田を整えるにも、活性するのにも最もおススメなエクササイズです。
足と頭を床から15cmあげ、手を前ならえの様に体と平行に伸ばしたままで2~3分間、鼻から短く鋭く息を吸っては吐くことを繰り返します。
弓のポーズ、車輪のポーズ、魚のポーズといったアーサナを、丹田を意識した腹式呼吸で深めてゆく練習も効果的です。
ヨーガとは、繋げる、統合するという意味ですね。
私達の生命は、プラーナ( prana )とアパーナ( apana )という相反する2つの勢力の活動が根本にあります。その2つの勢力とは、生命活動の最も基本となる、摂取と排泄。
プラーナとは生命の最小単位である原子、そして、アパーナは排泄する力です。
これはプラスとマイナス、ポジティブとネガティブ、太陽と月など、相反するエネルギーを象徴する2つのナーディ、ピンガラとイダが司る勢力です。
クンダリーニヨガでは、この2つの勢力を統合することを重要視しています。
丹田はプラーナとアパーナが混じり合う場です。この相反する2つの勢力の統合が起こることで熱が生じ、中心的ナーディであるシュシュムナに光が灯ります。
丹田の下には、クンダリーニという名の「創造的生命の源」が眠っています。
2つの相反するエネルギーが統合され、その中心にあるエネルギーの通り道が活性される時、とぐろを捲いた蛇は覚醒し、天頂へ向かいシュシュムナを上昇するのです。
すべてのヨーガの究極的な目的は、このクンダリーニを目醒めさせることにあると言っても過言ではありません。
そしてそれは、丹田の力なくしては成し遂げられません。
数々のインドの経典に記された言葉には、その理由が集約されている様にも感じられませんか☆