2019年10月31日
かをる
お花屋さんだったり、パン屋さんだったり、いい香りを嗅ぐと気分も良くなりますよね。
ふと香ってきた香りで過去の記憶が呼び起こされたり、季節感を感じたり、
はたまた食欲が一気に高まったり。。
と普段の生活の中で香りが私たちにもたらす影響を感じること多いかと思います。
香りの効果や最近ではそのことが医療の現場にも生かされていることをお伝えしたいと思います。
「ただいい香りがする」から、
「こんな効果があるからこんな作用がはたらく」へ。
少し知識をプラスすることでより生活を豊かにするツールとして香りを楽しめるようになるかと思います。
私たちは、見る・聴く・触れる・嗅ぐ・味わう の感覚を持っています。
その中で「見る・聴く・触れる」は物理的感覚。実際の物質や圧力などから感じる感覚です。
一方、「嗅ぐ・味わう」は化学的感覚と呼ばれています。
香りが身体に伝わる仕組みはこの化学がもたらしています。
香りが放つ化学信号=香りの化学的刺激は、鼻腔の奥にある嗅覚器へ伝わり、香りを識別する嗅細胞へ、そして脳へと伝わります。脳の深いところに直接伝わることで、自律神経や内分泌系、感情、行動に働きかけるというしくみです。
過去の出来事を思い出したり、食欲が湧いたりなどは感情や行動が刺激されたことなのでしょう。
(アロマテラピーはこのしくみを生かしたリラクゼーション方法です。)
この香り成分は薬理効果があることが実証されています。
それぞれの植物から取り出す有機化合物(香り成分)が私たちの心や体に様々な働きをもたらしてくれます。
ラベンダーはアロマの香りとしてとても有名ですが、実際に、鎮静作用が高くとてもリラックスできる香りですし、
抗菌作用の高いオレンジは自律神経にも働きかけ、入眠しやすくなるという科学的なデータもあります。
ティーツリーは免疫をあげ、風邪などのウイルスから予防効果で知られています。
香りを楽しむことが目的なアロマセラピーですが、香り成分が持つ薬理効果を代替・補完医療としての「メディカルアロマセラピー」として福祉や医療の現場で導入されている国もあります。
フランス、ドイツ、ベルギーなどでは精油を薬品として扱い、
治療目的で患者さんの病気や状態に合わせて精油を内用薬として、または外用薬として用いてます。
アロマセラピーが医療行為のひとつとして定着しているようですね。
一方、日本ではまだ雑貨扱いである精油ですが、その効果は日本の医療業界でも研究され始めているそうです。
産婦人科など医療現場では妊婦の陣痛の緩和や末期ガン患者への苦痛を緩和しながら、できるだけ生活の質(QOL=クオリティ・オブ・ライフ)を保つための医療や看護の手段として取り入れている病院もあります。
患者の身体の自己治癒力を高めて回復を促したり、患者と家族の精神的なサポートを主な目的としても活用しているようです。
私たちは日常、ストレスの多い社会に身を置いています。
人はストレスを感じるとストレスホルモンが過剰に分泌され、交感神経が優位になりっぱなしになります。
そんな状態が長く続くと免疫力が低下し、心身ともに病気になりやすくなります。
香りを鼻や皮膚、粘膜から吸収することでホルモンバランスを整え、自律神経を通じてストレスホルモンの分泌を抑制すると言われています。
ストレスが引き起こす病気の予防や健康増進のためにもアロマセラピーを日常に取り入れて心身の健康を保ちたいですね。