2025年4月23日
かをる
50代という年齢は、人生の中でも特に「変化」が多く訪れる時期かもしれません。
子どもの巣立ち、親の介護、仕事や家庭での役割の変化、
そして自分自身の心と体の移り変わり……。
これまでがむしゃらに走ってきたからこそ、ふと立ち止まって
「これからの私は、どうありたいんだろう?」
と考えることが増える方も多いのではないでしょうか。
そんな時に出会ってほしい考え方があります。
それが「成人発達理論(せいじんはったつりろん)」という
心の成長に関する理論です。
50代の女性が“今の自分”を受け入れて、
安心して前に進んでいくためのヒントとして、
この理論をご紹介したいと思います。
アメリカの心理学者ロバート・キーガン
によって提唱された「成人発達理論」は、
人は大人になってからも“心の成長”を続けていく
という考え方です。
私たちは、思春期を超えて「大人」になったら、
それで完成だと思いがちですが、
実はそのあとも、内面の成長は進んだり
後退したりします。
この理論では、
私たちの心のあり方には
いくつかの「段階」があるとされていて、
それぞれの段階で物事の捉え方や
他人との関わり方が変化していきます。
その変化はとても自然なもので、
年齢ではなく、その人の経験や内面の成熟によって
進んでいくのが特徴です。
50代になると、それまで当たり前だった考え方に違和感を感じたり、
今まで楽しめていたことがなんだかしっくりこなくなったり……。
そんな経験をしている方も多いのではないでしょうか。
– 「今までの考え方に違和感がある」
– 「何に喜びを感じていいかわからない」
– 「人間関係がうまくいかなくなってきた」
こういう変化があると、つい「私、どうしちゃったんだろう…」
「昔の自分と違う。ダメになってきたのかな?」と思ってしまいますよね。
でも、成人発達理論を知ると、それは「劣化」でも「後退」でもなく、
「次のステージへの“進化”のサイン」だということが分かってきます。
私たちは年齢を重ねるごとに、
「より深く生きたい」「本当の自分らしさを大切にしたい」
という想いに自然と導かれていくもの。
その途中で出会う違和感や迷いは、
“古い価値観を手放して、
新しい自分に出会うプロセス”なんです。
そう思えるだけで、
心がふっと軽くなる方も多いんですよね。
50代は、これまで「何者かになろう」とがんばってきた時期から、
「何を手放し、何を選ぶか」を意識するようになる時期でもあります。
人生の折り返し地点を過ぎたからこそ、
「本当はどう生きたいのか」「これから何に時間を使いたいのか」を
見つめ直す機会が増えていくのです。
成人発達理論は、そんな時に自分を見つめる“道しるべ”のような役割を果たしてくれます。
今の自分が、どんな価値観で動いていて、
どんなふうに人や物事と関わっているのか——。
「私は今、どんなステージにいて、どこへ向かっているのかな?」
と問い直すことで、
例え迷っていても、
「私はちゃんと、自分なりに進んでるんだ」
と感じられるようになる。
その安心感は、人生の後半戦を、より豊かにしてくれると思います。
成人発達理論を知ると、他人との関わり方も変わってきます。
たとえば、以前だったら
「なんであの人はいつも他人の目ばかり気にするの?」
と思っていたことも、
「あの人は今、そういう段階にいるんだな」と
受け止められるようになる。
また、過去の自分に対しても、
「あのときの私は未熟だった」ではなく、
「その時はその時で、一生懸命だったんだな」と
優しく見守れるようになります。
人はそれぞれのステージを、必要なプロセスとして進んでいく。
そう理解できると、
自分自身にも「今の私でOK」と言えるようになりますし、
家族や友人との関係にも、
ゆとりとあたたかさが生まれてきます。
変化の多い50代だからこそ、
「今の自分って、これでいいのかな?」
という不安がよぎることもあるかもしれません。
でも、成人発達理論という、これからの生き方を知る
“心の道しるべ”を知っていると、
「私はちゃんと育ってきた」
「今ここにいる自分も、これから向かう未来も大切にしていいんだ」
そんなふうに思えるようになります。
人生は、ずっと成長し続けていく道のり。
変わっていくことは、怖いことではなくて、
新しい自分との出会いの始まりかもしれません。
自分の道を歩んでいく。
どうか、今のあなた自身には
「よくがんばってるね」と声をかけてあげてくださいね。