2017年2月22日
伊藤香奈
「ホスピタリティ」
と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?
・・サプライズの誕生日ケーキ
・・ちょうどいいタイミングで運ばれてくるエンゲージリング
・・最高級のホテルで何でも叶えてくれるコンシェルジュのサービス
・・etc..
ウェブで検索してみると、リッツ・カールトン等のホテルや、客室乗務員、
ディスニーランドの感動のストーリーが何百と出てきて、
本当に読んでいるだけで、心がほっこりとしてきますね。
しかし、ホスピタリティとは、よく「おもてなし」と訳されますが、
本来の姿は、仕事の中だけでもなく、サービス業の人だけのものでもなく、
お金をかけて人を喜ばせる事でもなく、本当に身近にあるちょっとした
「思いやり」や「優しさ」のカケラであると思います。
日常の中に、あふれていること、です。
日本ホスピタリティ推進協会、というNPO団体が定義しているホスピタリティとは、
「ホスピタリティとは接客・接遇の場面だけで
発揮されるものではなく、人と人、人とモノ、
人と社会、人と自然などの関わりにおいて
具現化されるものである。 」
とされています。
(http://www.hospitality-jhma.org/index.php より抜粋させて頂きました)
つまり、ホテルや旅行の時、非日常で遭遇するサプライズなサービスではなく、
いつも住んでいる日常の中で、ホスピタリティの精神が、様々な行動に表れて、
または表していくもの、なのではないでしょうか。
人と人・・・友達同士や家族
人とモノ・・・大切にしている鞄や時計、住んでいる家やペン1本でも
人と社会・・・会社や、地域等の組織との関わり
人と自然・・・生けてある花や、街頭の木々
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◆サービスとホスピタリティの違い◆
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ホスピタリティとは?を調べていくと、よく「サービスとの違い」が挙げられます。
サービスを簡単に定義すると、
マニュアルや決まったルールに則って
頂く対価に対して施すこと(または物)
です。
ヨガスタジオに行くと、受付の方が、「いらっしゃいませ」と迎えてくれ、
適温に保たれたスタジオで、ヨガを受けることができます。
それは、お客様からしたら、
「払っている対価(レッスン代)に対して、当たり前」
のサービスです。
そこで、受付の方が笑顔では無かったら。
スタジオの暖房が壊れていたら。
ヨガマットが汚れていたり、シワくちゃになっていたら。
お客様は不満に思います。
それは、期待されるべきサービス以下のことが起こっている、からです。
そして、逆に、想像以上のサービスが得られたとき、
お客様は喜びや感動を得て=ホスピタリティを感じます。
例えば、雨の日にスタジオに行ったら、カバンや靴を拭ける様にタオルを貸して下さったり。
2回目の参加なのに、先生が自分の名前を覚えてくれていたり。
綺麗に人数分のマットが敷かれて、心地よい音楽が流れ、リラックスできる香りが漂っていて、
笑顔で先生が迎えてくれたり。
期待されている最低限のルールやマナーは実施されていることが前提で、
期待以上であることが、人の心を動かし、サービス以上=ホスピタリティを感じてもらえる、
と言えるかもしれません。
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◆やらされている気持ちからは、ホスピタリティは生まれない◆
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リッツ・カールトンでもディズニーランドでも紹介されている実践例は、
会社が従業員に対してホスピタリティの見本を見せる、従業員同士が
ホスピタリティの精神を持って接する、ということです。
従業員の意欲向上が、お客様へのサービスの向上に繋がる、
と考えているからこそ。
そして、ホスピタリティとは、やらされるものではなく、心の中から出てくるもの、
だからではないでしょうか。
例えば、子供と話しをする時に、かかんで目線を合わせて話してあげますよね。
でも、それは、サービスマニュアルに書かれていたこともなく、
たぶん学校で教わったことでもないと思います。
ただ、「そうしてあげた方が、相手が安心するから。喜ぶから。」
と予測して、動いてあげている、それだけです。
そこには、
・・この子は身長や見た目から、子供だ、という観察力
・・ちょっと不安そうな表情をしている・・と気持ちを読み取る力
など、知らないうちに、あなたの色々五感が働き、判断しています。
そして、その行動には、やらされている気持ちもなく、
また、
「かがんで話しをしてくれて、ありがとう」と言われたいわけでもなく。
自然と、優しさや思いやりから、溢れてくる行動です。
これこそが、日常にある、ホスピタリティではないでしょうか。
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◆ホスピタリティを日常に◆
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ホスピタリティは、人と人の間だけでなく、見えない社会や、モノや自然との間
にも存在する、という定義がありましたが、皆さんの日常はどうでしょうか?
前途した通り、一流企業が従業員に最高のホスピタリティを求める場合、
まずは、最高のホスピタリティを従業員自身が体感しています。
そこで生まれた感動や、体感した喜びがあるからこそ、「誰かにしてあげたい」
という想いが、自然と湧いてくるのではないか、と思います。
やってあげなきゃ、こうしなきゃ、という責任感や
やってあげてる、こうしてあげてる、という犠牲心や上から目線は、
ついつい持ってしまいがちですが、ここは一息ついて。
心の底から溢れてくる、本来自分が持っている優しさに、自分がまず気づいてあげては
いかがでしょうか。