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dharana

2016年10月20日

小笠原 文

「思考をなくす」ということ。ダーラナの意識

思考とは
〜考えや思いを巡らせる行動。結論を導き出す考え〜

「思」は、頭脳&精神の活動。
「考」は、知恵の意味。
頭や心で活動し、知恵を巡らせることを意味します。

「思考は主に、自分自身の過去の経験と未来への想像からやってくる自分で創り出したもの」
「脳は常に何かを考え、働いている状態」
——————–

ヨガを深めていくと思考の止まる瞬間を体験することは多くあると思います。

・呼吸を深めているとき
・アサナをとっているとき
・シャバアサナのとき…等

これらの形をとるだけでなく、そこへしっかりと意識をもち、集中してエネルギーを高めコントロールし、思考のないところへ移動していくことがヨガの教えのひとつでもあります。
ヨーガ・スートラに記されている八支則の内の第六段階である「ダーラナ」。
ダーラナ (Dharana)
疑念・集中。
感覚を閉じ込めて周りの物が気にならなくなる。一点に集中する。
この第六段階に至るまでの過程と、この後に続いていく過程の間にある領域で、実際にははっきり分割できない一連の心理的流れとされています。
 

ヨガマットから降りた日常生活の中では「ダーラナ」の状態になることはあるでしょうか。
「今自分は思考している」ということ自体に気づくこともなかなか難しかったりしますね。

瞑想や坐禅、ヨガなどでよく聞かれる “思考をなくす” という意識の状態はとても繊細です。しかし一度その意識に入ると、大きな安定に包まれ、かすかな至福感さえ得られます。
外の世界と内の世界を結ぶちょうど中間地点のような領域です。

ここを通らずして最終段階のサマーディに到達することは、ほぼ不可能だと言えます。

 

思考を消したいとき
それは、考えや思い自体を消すのではなく、思考のないところへ意識を移動するという解釈です。

=「思考を消す」というのはただの捉え方であって、思考という そのものは消えません。
(※思考によって生まれた感情やエネルギーは消すことができます。)
思考は考えるという行動そのものなので、消そうとして消えるものではないのです。

思考1

私たちの「意識」はいくつかの段階があり幾層にも重なっています。
その中には思考のある領域と、ない領域とがあります。

◯普段生活する中でいろいろと浮かんでくる考え→ “思考のある世界”
◯物事が生じても何の感情も浮かばない中立した視点→ “思考のない世界”
と分けられます。

ちなみに「直感」や「ひらめき」「なんとなくそう感じる」というのは、もう少し奥の深い意識の層から送られてくるものです。

 

思考にとらわれない深い意識にいることは様々な効果をもたらします。
・周りに流されない。
・精神が安定。
・呼吸・血流が穏やか。
・脳の休息。
・体内機能が安定。
・ストレス軽減。リラックス効果。
・感情に流されない適切な判断力。
・集中力・記憶力・観察力・想像力向上。
・免疫力が上がる。
・体温を温める。
・気持ちにゆとりがうまれる。
・視点が広がる。
・本来の自分でいられる。
・プラーナの通り道の浄化。
・直感力が冴える。
、、、等。

 

ヨガのはじまりは、もともと悟りへと近づくためのものだったと伝えられています。
精神を安定させ、より深い意識で物事を見、この世界だけでなくありとあらゆる全てのことを知るということを求めて行われていました。

禅などで修行を積んだ僧侶などであるなら、瞬時に意識をその領域(思考のないところ)に移すことは可能でしょうし、
また、修行も何もしていなくても自然とその領域に移行できる人もいます。
鍛錬したものだけができるというわけではなくて、そのための行動を起こせば誰にでもできるものです。

思考jpg

 

自由に意識の移動をするには、普段からほんの少しでも心静まる瞬間をつくることが大切です。
瞑想をするように意識を持っていくことを日々積み重ねてその感覚に慣れていくようになると、そのうち自分で自由にコントロールできるようになってきます。

瞑想は自分の意思で静かな時間をつくろうと努めることからはじまると思いますが、突然、ふとしたときに心が静かになる瞬間になることがあったりもします。
・自ら瞑想へと向かうか。
・自然と引き込まれるようにそうなるか。
の、ふたつのパターンがあり、そのときの自身の状態によって変わります。

 

□瞑想は早朝、または夜がおすすめです。
人の活動が少ない時間帯。
周りのエネルギーも穏やかに漂っていて瞑想しやすい環境です。

□瞑想するぞ!といって無理に環境をつくる必要もありません。
日常で暮らしているそのままで大丈夫。
静かな落ち着く場所だから瞑想できるというわけでもないのです。

でも、お部屋はきれいにしておくことに越したことはありません。
環境を整えることで、エネルギーが大きく変わることは確かです。
けどやはり、部屋をきれいにしたから瞑想できるというわけではないのでそこは自分の心次第だったりします。

少しずつ、そんな時間を増やしていくと、どんな場所や環境にいても瞬時に瞑想状態になることは大いに可能です。

思考2

 

日常の、例えば通勤電車の中。
混んでいる車内で「座りたい」「狭い」「早く着きたい」と考えているときが思考のあるところ。
そこに今自分がいることに気づいたら、あとはそこから思考のないところへ離れていけばいいだけのことです。

瞑想の方法はいろいろとありますが、人それぞれで合う合わないはもちろんあります。
こうしなければいけないというものもありません。
様々な情報を得て試し、やりやすいやり方を見つけてみてください。

 

□ひとつ方法として。
ご自身の意識を、みぞおちの奥へとただ深く深く潜って沈めていくようイメージし、そこだけに集中していくやり方があります。
途中で気が緩むと、沈んでいったものが浮いてくる感覚もあったりしますが、それに気づいたらまた集中させて深く沈めていきます。

みぞおちには潜在意識と繋がっているチャクラがあります。
本来の自分の存在する場所として・空意識へと繋がるとても大切なエネルギーのあるところです。
(※みぞおちは、大きく分けた体の7つのチャクラとして数えると第3チャクラと同じに分類されることも多いですが、その中でも細かく分類していくとみぞおちの箇所で1つとして分けられます)
この方法を毎日ほんの少しずつでも取り入れていくと、だんだんと感覚が身体に染み込んでいきます。

 

始めは難しいかもしれませんが個人差はあっても続けていくうちに、ふとできる瞬間はやってきます。
思考がなくなってくると身体の力は抜けて、周りに身を委ねるように楽になり、実際に体が軽くなったように感じる人も。周りの空気や環境も変わったと感じる人もいるかもしれません。

“何かを感じている(感情を発している)自分”を外から見ているような感覚です。
眼球ではない視点。
意識の視点です。

 

「瞑想」は年々多く耳にするようになり、最近ではブームという流れに乗ってきていると注目されているそうです。
多くの言葉で語られますが瞑想はこういうものです、と決めるものではないし、誰かにしてもらうものでもなく。
いつも大切なことは「自分自身」だということ。
いろいろな情報が飛び交う中で、自分が感じる楽しいこと・惹かれるものの直感を信じて、どんな毎日も素敵で輝かしい日々を過ごされますように。

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小笠原 文
【音のヨガ専門講座:https://vende-school.jp/course/unitup_syc/】ハタヨガに音をプラスした、新しいスタイルの「シンギングボウルヨガ」を主に活動中。からだの状態や年齢にかかわらず、幅広い方にもヨガと音楽療法の相乗効果をお楽しみいただけます。 *バンデヨガ・インテグレーション(養成講座)における音のヨガの専門講座『Sound for Yoga(SYC)』創設、講師を務める。 *全米ヨガアライアンス(RYT200)修了、 バンデヨガ・インテグレーション(VYI200)修了、 各種専門講座修了、 シンギングボウルサウンドヒーラー、 yogamusic CD解説ライター .

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